学校事務職員は安定した収入を得られる?経験年数別の年収推移を解説

「学校事務職員は公務員だから安定していると聞くけれど、実際にどれくらい収入が増えていくものなのか、具体的にはよくわからない」——採用試験を検討している方から、こうした声を聞くことがあります。

「安定している」という言葉だけでは、将来の生活設計をイメージしにくいですよね。今回は、経験年数を重ねるにつれて収入がどのように変化していくのか、そのカーブの形と、「安定」という言葉の中身について、10年以上の実務経験を踏まえてお伝えします。初任給や定年間近の具体的な金額については当ブログの別記事で詳しく取り上げていますので、今回は金額そのものよりも「推移の形」に焦点を当てたいと思います。

なぜ「安定した収入」と言われるのか?給料表という仕組みを知っておこう

地方公務員である学校事務職員(多くの場合、県費負担教職員として都道府県の給与体系に基づいて任用されます)の給与は、「給料表」と呼ばれる仕組みに基づいて決まります。給料表は「級」と「号給」という2つの軸で構成されており、級は主に役職の段階を、号給は主に経験年数に応じた積み上げを表す、とイメージするとわかりやすいと思います。

多くの自治体では、勤務成績が標準的であれば年に1回、号給が上がる仕組みが取られています。この仕組みによって、大きく落ち込むことはないものの、経験年数に応じて一段ずつ着実に積み上がっていくのが、学校事務職員の給与の基本的な特徴だと私は理解しています。ただし、給料表の具体的な金額や昇給の運用は自治体の条例によって定められており、地域によって差があります。数字を確認したい場合は、必ず志望先の自治体の情報を確認するようにしてください。

若手(1〜5年目)の収入はどう変化する?――焦らなくていい下積み期

採用されたばかりの1〜5年目は、号給が着実に積み上がっていく時期ではあるものの、役職(級)はまだ変わらないことが一般的です。そのため、収入の伸び方としては「毎年少しずつ上がるが、大きく跳ね上がることはない」という印象を持つ方が多いと思います。

私自身、この時期は「思ったよりゆっくりだな」と感じたことをよく覚えています。期末・勤勉手当(ボーナスに相当するもの)を含めても、いわゆる大企業で働く同世代と比べると見劣りすると感じる場面があるかもしれません。ですが、この時期に大きく収入が落ち込むリスクが低いことこそ、公務員ならではの特徴でもあります。焦らず、目の前の仕事を一つひとつ身につけていく期間だと捉えていただくとよいのではないでしょうか。

中堅(10年前後)の収入はどう変化する?――昇格が重なるタイミング

勤続10年前後になると、主任や係長といった役職への昇格、つまり給料表の「級」が上がるタイミングを迎える方が増えてきます。昇格すると、号給の積み上げに加えて級自体が上がるため、若手の頃と比べて収入の伸びを実感しやすくなる時期だと感じています。

もっとも、昇格の時期や条件は自治体・個人の状況によって差が大きく、「10年で必ず主任になれる」といった一律の基準があるわけではありません。選考を経て昇格する自治体もあれば、年功的な運用で段階的に昇格していく自治体もあります。この点は、志望先の制度を事前に確認しておくと安心できると思います。

ベテラン(定年間近)の収入はどう変化する?――昇給の伸びは緩やかに

50代以降、定年が近づいてくると、給料表の号給に上限があることもあり、昇給の伸び幅が小さくなっていく傾向があります。いわゆる「頭打ち」と呼ばれる状態です。とはいえ、これは収入が「下がる」わけではなく、あくまで「伸びが緩やかになる」というニュアンスで捉えていただくのが正確だと思います。

なお、定年後に再任用として勤務を続ける場合は、給与水準が現役時と比べて下がるのが一般的です。近年は定年の段階的な引き上げなど、制度そのものが変化している最中でもあるため、この点は志望先の自治体の最新情報を確認していただくことをおすすめします。定年間近の具体的な水準については、当ブログの別記事で詳しく紹介していますので、そちらもあわせてご覧ください。

経験年数別に見る収入カーブ全体像――なだらかな右肩上がり

ここまでの流れをまとめると、学校事務職員の収入カーブは、若手期はゆるやかに、中堅期は昇格を挟んでやや伸びを実感しやすく、ベテラン期は再びゆるやかになる、という3段階の「なだらかな右肩上がり」を描くのが一般的なイメージです。

もちろん、これはあくまで一般的な傾向であり、実際の金額は自治体・学歴(大卒・短大卒・高卒などによる初任給時点の号給の違い)・地域手当の有無や割合、扶養手当・住居手当といった各種手当の有無によって、同じ経験年数でも大きく変わってきます。「経験年数に応じて段階的に、着実に上がっていく」という”形”を知っておくことが、この記事で一番お伝えしたいポイントです。

参考:愛知県のケースで見る具体的な給料水準

「形はわかったけれど、実際の金額のイメージも欲しい」という方のために、一つの自治体を例に具体的な数字を紹介します。ここでは愛知県人事委員会が公表している「職員給与等の公表」(令和5年4月1日現在)から、一般行政職の給料月額を引用します。学校事務職員(県費負担教職員)は、多くの自治体で教員とは別の「一般行政職」の給料表が適用されるため、参考値として押さえておくとイメージが具体的になると思います。

  • 初任給:大学卒 196,300円/高校卒 162,700円
  • 経験年数10年:大学卒 269,459円/高校卒 238,622円
  • 経験年数20年:大学卒 366,077円/高校卒 310,100円
  • 経験年数25年:大学卒 392,501円/高校卒 349,807円
  • 経験年数30年:大学卒 409,897円/高校卒 378,147円

いずれも月額の「給料」の数字で、地域手当・扶養手当・住居手当といった各種手当は含まれていません。ボーナスに相当する期末・勤勉手当は、令和5年度の愛知県では年間4.50か月分でした。この月数を単純に掛け合わせて概算すると、たとえば経験年数20年・大学卒の場合、給料月額と手当分を合わせた年収はおおよそ600万円台前半になる計算です。実際には地域手当なども加わるため、この試算より高くなるケースが一般的です。

繰り返しになりますが、これはあくまで愛知県・一般行政職・令和5年4月時点の一例です。給料表の号給や地域手当の支給割合は自治体によって大きく異なるため、他の自治体を志望する方は、必ず志望先の給料表や募集要項で最新の金額を確認するようにしてください。

民間企業と比べたときの「安定」の意味とは

民間企業、特に成果主義の色が強い企業では、業績次第で給与が大きく増えることもあれば、減給やボーナスカットが起こることもあります。学校事務職員を含む地方公務員の給与は、人事委員会勧告などの仕組みを通じて民間の給与動向がある程度反映される一方で、急激な増減が起きにくい設計になっています。

つまり「安定」とは、一気に大きく稼げるという意味ではなく、景気変動の影響を受けにくく、経験年数に応じて着実に積み上がっていくという意味だと捉えています。将来設計のしやすさという点で、この特徴を魅力に感じる方は多いのではないでしょうか。

給与額に差が出る要因――自治体・学歴・地域手当なども考慮に

同じ「学校事務職員」という職種であっても、実際に受け取る金額は次のような要因で変わってきます。

  • 採用された自治体(都道府県・政令指定都市)の給料表や昇給の運用
  • 学歴(大卒・短大卒・高卒等)による初任給時点の号給の格付け
  • 勤務地に応じた地域手当の有無・支給割合
  • 扶養手当・住居手当・通勤手当など各種手当の有無
  • 経験者採用か新卒採用か、また前職での経験年数が通算されるかどうか

このように、収入額そのものは自治体や学歴・経歴によって異なる、というのが正直なところです。具体的な金額を知りたい場合は、志望先の自治体が公表している給料表や、採用試験の募集要項を確認することをおすすめします。

まとめ:収入の見通しを立てて、試験対策の一歩を踏み出そう

学校事務職員の収入は、若手期・中堅期・ベテラン期でそれぞれ伸び方の性質が変わりながらも、経験年数に応じてなだらかな右肩上がりのカーブを描いていくのが一般的な傾向です。急激に増えることはない代わりに、景気に左右されにくく、着実に積み上がっていく――この「安定」の中身を知っておくことは、将来設計を考えるうえできっと役立つはずです。

もっと具体的な金額を知りたいという方は、初任給や定年間近の給料について詳しく取り上げた記事もあわせてご覧ください。そして、収入の見通しが立った方は、ぜひ次のステップとして採用試験の対策を具体的に進めてみてください。

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