採用後すぐ妊娠が発覚…学校事務職員も産休・育休は取れる?

「採用されたばかりなのに妊娠…」その不安、まず落ち着いてください

やっとの思いで採用試験に合格し、これから学校事務職員としてのキャリアが始まる。そんな矢先に妊娠がわかって、「せっかく採用してもらったのに、こんなタイミングで迷惑をかけていいのだろうか」「もしかして採用取り消しになるのでは」と、頭が真っ白になっていませんか。

先にお伝えしておきます。結論から言うと、勤務期間の長さに関係なく、産前産後休暇は制度上取得できます。これは私が勝手にそう思っているわけではなく、実際に私の勤務してきた自治体でも、採用されて数か月の職員が産休に入り、そのまま復帰していく姿を何度も見てきました。まずはその事実を受け止めて、少し肩の力を抜いてから、続きを読み進めてください。

採用後すぐでも産休・育休は取れるのか?結論から言います

産前産後休暇は、労働基準法や国の人事院規則に準じて各自治体の条例で定められた「特別休暇」です。

勤続年数によって取得の可否が変わるという条文は見当たらず、常勤の正規職員であれば採用直後でも取得できるのが原則と考えられます。

育児休業についても、「地方公務員の育児休業等に関する法律」に基づく制度であり、常勤職員であれば、採用直後から対象になり得ると考えられます。勤務期間の長さを要件とする条文は見当たりませんでした。

ただし、会計年度任用職員(非常勤・年度ごとに任用される職員)の場合は事情が異なります。

「同一の任命権者に引き続き1年以上任用されていること」といった要件が設けられているケースがあり、常勤職員とは扱いが分かれます。

ご自身の任用形態が常勤か会計年度任用かによって条件が変わりますので、不安な方は早めに人事担当課で確認しておくと安心です。

産前産後休暇はいつから取れる?期間の数え方

産前産後休暇の期間は、産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)、産後8週間が一般的な基準です。

産前は、この期間内で本人が請求した日から出産日までが休暇となり、産後8週間は就業そのものが禁止されています(本人が希望し、医師が支障ないと認めた場合に限り、産後6週間を経過していれば就業できる例外はあります)。

この日数は労働基準法・人事院規則をベースにしていますが、地方公務員の場合は各自治体の条例で「特別休暇」として規定される形をとっています。

多くの自治体で国の基準にそろえていますが、条文上は自治体ごとの条例が根拠になるため、細かな運用は所属先の規則で確認しておくのが確実です。

産休中の給料はどうなる?(ここは安心材料です)

産前産後休暇は多くの地方公務員において、給料が減額されない「有給の特別休暇」として扱われています。

共済掛金についても、申出をすれば免除される制度があり、免除されている期間も将来の年金額の計算などでは掛金を納めた期間と同様に扱われます。

つまり、産休を取ったからといって将来の年金が目減りする心配は基本的にありません。

一方で、期末手当・勤勉手当への具体的な影響(在職期間としてどこまで算定されるか)は、自治体の給与条例によって細部が異なり、全国共通のルールとしては裏付けが取れませんでした。

ここは「休業が長くなるほど影響する場合がある」という一般論にとどめておきますので、気になる方は勤務されている教育委員会に確認してみてください。

なお、出産にかかる費用そのものは、この産休中の給料とは別枠で、共済組合から「出産費」という給付を受けられます。

正常分娩で産科医療補償制度に加入した医療機関を利用した場合、2023年4月の出産分から50万円に増額されています(それ以前は42万円でした)。

産休中・産後の収入まわりの全体像をもう少し詳しく知りたい方は、経験年数別の年収推移を解説した記事もあわせてご覧ください。

育児休業はいつまで取れる?2022年10月から「分割取得」ができるようになりました

育児休業は、地方公務員の場合、任命権者の承認を受けて子が3歳に達する日まで取得できるとされています。

これは民間企業(原則1歳、延長しても最長2歳まで)より長く、地方公務員・国家公務員に共通する特徴です。

そして本記事でぜひお伝えしたいのが、令和4年(2022年)10月1日に施行された法改正です。

「地方公務員の育児休業等に関する法律」の改正により、同一の子について、原則2回まで分割して育児休業を取得できるようになりました。

以前は原則1回しか認められていなかったため、これは大きな変化です。

たとえば、出産直後にいったん取得し、配偶者と交代しながら育児にあたる、といった柔軟な使い方ができるようになったわけです。

なお、これは国家公務員・地方公務員向けの法律に基づく改正であり、民間企業の「育児・介護休業法」における分割取得のルールとは別物です。

検索していると民間向けの解説に行き当たることも多いので、混同しないよう注意してください。

育児休業中の収入はどうなる?手当金の支給率と2025年新設の上乗せ給付

育児休業自体は無給ですが、公立学校共済組合から「育児休業手当金」が支給されます。

支給率は、育児休業開始から180日までが標準報酬日額の67%、181日目以降は50%です。

この手当金がもらえる期間は原則として子が1歳に達する日までで、パパ・ママ育休プラスを利用すれば1歳2か月まで、保育所に入れないなどの事情があれば最長2歳まで延長できます。

ここで大事な整理をしておきます。育児休業を取得できる期間(3歳まで)と、手当金がもらえる期間(原則1歳まで)は別物です

1歳を過ぎて育休を延長しても、手当金は原則として支給されなくなるため、後半は無給になる点をあらかじめ理解しておきましょう。

そしてもう一つ、2025年度に新設されたのが「育児休業支援手当金」です。

組合員本人が対象期間内に育児休業等を14日以上取得し、かつ配偶者も子の出生日から56日を経過する日の翌日までに育児休業等を14日以上取得した場合、最大28日間、標準報酬日額の13%が上乗せされる仕組みです。

配偶者がいない場合や配偶者が働いていない場合などは、本人の取得状況だけで給付の対象になる要件緩和もあります。

この制度は2025年4月に開始されたとみられますが、支給率・上限額は改定される可能性があり、本記事の数字は2026年8月時点のものです。

請求前には必ず共済組合の最新ページ、または所属の共済組合支部窓口で確認してください。

条件付採用期間中に休業に入るとどうなる?

採用1年目の方が一番気にされるのが、この「条件付採用期間」との関係だと思います。

地方公務員法では、採用は任命の日から原則6か月間を「条件付採用期間」とし、この間に良好な成績で勤務すれば正式採用となる仕組みがとられています。

なお、学校事務職員は、教員とは異なり、教育公務員特例法上の「教育公務員」の定義には通常含まれません。

そのため条件付採用期間は、教員に適用される1年ではなく、地方公務員法の原則どおり6か月(規則により最大1年まで延長可能)が適用されると考えられます。

最終的には所属自治体の規則でご確認ください。

では、この条件付採用期間中に産休・育休で休むとどうなるのか。

ここは断定を避けたい部分です。

全国一律の統一ルールを定めた法律は見当たりませんでしたが、国家公務員の人事院規則を参考に、多くの自治体で「実際に勤務した日数が一定日数(90日を目安とする例が見られます)に満たない場合、その日数に達するまで条件付採用期間そのものが延長される」という趣旨の規則を置いているようです。

大切なのは、これは「採用取り消し」を意味するものではなく、あくまで正式採用の判定時期を延ばす仕組みだという点です。

とはいえ、取り扱いは自治体・任命権者によって異なるため、「絶対に大丈夫」と保証することもできません。

ご自身の状況を、必ず所属自治体の人事担当課に確認してみてください。

まとめ:まず誰に、いつ伝えるか。今日からできる3つのこと

ここまで制度の話を中心にしてきましたが、最後に、今日からできる具体的な一歩を3つお伝えします。

一つ目は、体調が落ち着き、安定期に入る頃を目安に、直属の上司や事務局に報告することです。

早すぎる必要はありませんが、業務分担の調整もあるため、体調を最優先にしつつタイミングを見計らいましょう。

二つ目は、所属自治体の人事担当課、そして共済組合支部に、産休・育休の手続きと条件付採用期間の扱いについて具体的に確認することです。制度は自治体によって細部が異なるため、一般論だけで判断せず、必ず自分の自治体の情報を取りに行ってください。

三つ目は、母子健康手帳の交付を受けたら、勤務先に提出する休暇届・休業請求書などの様式を早めに確認し、準備しておくことです。

採用直後の妊娠は、決して珍しいことでも、恥ずべきことでもありません。

制度は、あなたがこのタイミングで安心して出産・育児に臨めるように用意されています。

この記事が、あなたの不安を少しでも軽くする助けになれば嬉しいです。

コメント