「学校事務職員」という仕事、名前は聞いたことがあるけれど、実際に何をしているのかよくわからない——そう感じたことはありませんか。
一般企業の「事務職」をイメージすると、書類作成や電話対応くらいを想像する方が多いかもしれません。しかし学校事務職員の仕事は、それだけではありません。学校という組織の予算・経理から、教職員の給与関連事務、施設管理、保護者対応まで、学校運営を裏側から支える幅広い業務を担っています。
私自身、学校事務職員として10年以上働いてきました。この記事では、その経験をもとに、学校事務職員が実際にどんな仕事をしているのか、1日のスケジュールを軸にできるだけ具体的にお伝えします。採用試験を検討している方はもちろん、「事務」という言葉から抱くイメージとのギャップを埋めたい方にも読んでいただきたい内容です。
学校事務職員とは?まず押さえておきたい仕事の全体像
学校事務職員は、小中学校に配置され、学校運営に関わる総務・財務系の実務を担う専門職です。教員が授業や学級経営を担当するのに対し、事務職員は予算管理や書類事務、施設管理といった学校運営の基盤を支える役割を担っています。
学校教育法第37条第14項では、事務職員の職務は「事務をつかさどる」と規定されています。実はこの表現、2017年(平成29年)の法改正で「事務に従事する」から変更されたものです。単に指示された事務作業をこなす立場から、学校運営に主体的に関わる立場として、法的な位置づけが強化された経緯があります。
なお、学校事務職員には「県費事務職員」と「市町村費事務職員」という区分があります。市町村立小中学校の教職員の給与は、原則として設置者である市町村が負担しますが、例外として都道府県が給与を負担する「県費負担教職員制度」という仕組みがあり、これに基づく職員を県費事務職員と呼びます。県費負担教職員の任命権は都道府県教育委員会(政令指定都市の場合は市教育委員会)にあります。
一方、市町村費事務職員は市区町村が独自予算で追加採用する職員で、こちらを配置しているかどうかは自治体によって差があります。採用試験を受ける際は、自分が志望する自治体がどちらの区分での採用なのか、募集要項で確認しておくとよいでしょう。
学校事務職員の主な業務内容一覧
学校事務職員が担う業務は、大きく分けると次のようなものがあります。
- 予算・経理事務:学校運営費の管理、備品・消耗品の購入手続き、契約事務など
- 就学援助関連事務:経済的に就学が困難な家庭を支援する制度の書類配布・取りまとめ(自治体によって窓口や審査の仕組みは異なります)
- 教職員の給与・旅費関連事務:諸手当の認定調書作成、出張旅費の請求書確認など
- 施設管理:校舎・設備の維持管理に関する事務手続き、修繕依頼の取りまとめ
- 学籍関連事務:児童生徒の学籍簿・指導要録に関する事務
- 窓口・保護者対応:学校徴収金の管理、来校者・電話対応
一つひとつは地味に見えるかもしれませんが、これらが滞ると学校運営そのものが立ち行かなくなる、縁の下の力持ち的な仕事です。
【平日】学校事務職員の1日の流れ・スケジュール例
ここからは、私の経験をもとにした一般的な1日の流れを紹介します。もちろん学校規模や時期によって変動しますが、イメージをつかむ参考にしてください。
- 8:00〜8:30 出勤、メールチェック、その日の予定確認
- 8:30〜10:00 窓口対応(保護者からの問い合わせ、業者との電話対応)、書類作成
- 10:00〜12:00 予算執行に関する事務処理、伝票整理、教育委員会への提出書類作成
- 12:00〜13:00 昼休憩(学校によっては来客対応が入ることも)
- 13:00〜15:00 教職員からの旅費請求・手当関係の確認作業、施設まわりの修繕依頼対応
- 15:00〜16:30 会議資料の準備、校長・教頭との情報共有、翌日以降の業務整理
- 16:30〜17:00 退勤準備、戸締まり確認など
窓口対応と事務処理を並行してこなす場面が多く、電話が鳴っている最中に来客がある、といったことも珍しくありません。優先順位をつけながら複数の業務を回していくスキルが求められる仕事だと感じています。
月によって変わる仕事 — 年間を通じた業務の波
学校事務職員の仕事は、1年を通じて業務量が一定というわけではありません。地方自治体の会計年度は4月始まり・3月終わりであるため、予算・契約・人事に関する事務がどうしても年度の切り替わりに集中しやすくなります。
年度末(1〜3月)は、予算執行状況の確認や翌年度予算の要求・査定対応、契約更新事務、備品の年度内発注、人事異動に伴う準備事務などが重なります。年度始め(4月)は、新入学児童生徒の学籍事務、就学援助の新規申請受付、新任教職員の給与・旅費関連の初期登録、学校徴収金の口座設定などが一気に発生します。
こうした時期は残業が増えやすくなります。「必ずこの時期にこの業務がある」と一律に言えるものではありませんが、年度の節目に業務が集中しやすいという傾向は、学校事務職員として働くうえで知っておいて損はないでしょう。
1人配置か複数配置か?学校規模による働き方の違い
学校事務職員の配置人数は、義務標準法(公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律)という法律に基づいて算定されています。この算定の考え方から、標準規模以上の学校では事務職員1人配置が基本形になっていると理解してよいでしょう。一方、学級数が少ないごく小規模な学校では、学校教育法上「特別の事情があるときは事務職員を置かないことができる」という例外規定もあり、配置がない、あるいは複数校を掛け持ちするといった運用がなされることもあります。
大規模校で事務職員が複数配置されるケースも一部にありますが、その具体的な基準は自治体や学校規模によって差があるため、ここでは踏み込んだ数字は避けておきます。
また近年、複数校の事務職員が共同で事務処理を行う「共同学校事務室」という仕組みを導入する自治体が増えてきています。2017年(平成29年)の法改正で法的な根拠が整備された制度ですが、実際に設置するかどうか、どの範囲の業務を共同処理するかは都道府県・市町村教育委員会の判断に委ねられており、全国一律の制度ではありません。1人配置の学校であっても、こうした仕組みを通じて他校の事務職員と連携しながら業務を進めるケースが出てきている、と理解しておくとよいと思います。
学校事務職員はきつい?大変なこと・やりがいを感じる瞬間
私が実際に働いてきて感じる大変さは、「1人で完結させなければいけない場面が多いこと」です。一般企業であれば同じ部署に相談できる同僚がすぐそばにいることが多いと思いますが、1人配置の学校では、判断に迷う場面でも自分で調べて対応する場面が少なくありません。共同学校事務室のような連携の仕組みが少しずつ広がっているのは、この点を補う意味でも心強い動きだと感じています。
一方でやりがいを感じるのは、自分の事務処理が子どもたちの学びの環境を直接支えていると実感できる瞬間です。就学援助の手続きを通じて、経済的な事情を抱える家庭の支援につながったときや、備品購入がスムーズに進んで教員から感謝されたときなど、「縁の下の力持ち」であることの手応えを感じられる仕事だと思っています。
未経験でも大丈夫?仕事内容から見る学校事務職員に向いている人
学校事務職員は、教員免許を必要としない職種です。採用試験に合格すれば、これまで教育とは関係のない仕事をしていた方でも十分に活躍できます。
向いていると感じるのは、複数の業務を並行して進められる人、細かい書類作業を丁寧にこなせる人、そして自分から情報を調べて判断する姿勢を持てる人です。逆に言えば、これらは働きながら少しずつ身につけていける力でもあります。「未経験だから」と不安に感じすぎる必要はありません。
なお、学校には事務職員のほかに「学校用務員」(校舎の整備・修繕など施設面を担当する職)や「スクールサポートスタッフ」(教員の事務作業を支援する非常勤職で、自治体によって呼称や配置状況が異なります)といった職種もあります。混同されがちですが、事務職員は総務・財務を中心に学校運営を支える独立した専門職であり、採用試験の区分も別になっています。
まとめ:学校事務職員の仕事内容をもっと詳しく知りたい方へ
学校事務職員の仕事は、予算・経理から教職員の給与関連事務、施設管理、保護者対応まで幅広く、1人で複数の役割をこなす場面が多い仕事です。大変さもありますが、学校運営を支えているという実感を得られるやりがいの大きい仕事でもあります。
「自分に向いているかもしれない」と感じた方は、次はぜひ採用試験の対策情報や給料事情についても調べてみてください。当ブログでは今後、そうした関連記事も公開していく予定です。

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