校庭の桜のつぼみが膨らみ始めるこの季節、学校事務室は一年で最も激しい嵐の中にあります。机の上には精算を待つ領収書の山、次々に届く他校からの引き継ぎ資料、そして内密に進められる人事異動の書類。窓の外の穏やかな春の訪れとは裏腹に、事務職員の頭の中はフル回転という方も多いのではないでしょうか。
私も経験が浅かった頃は、この3月の業務量に圧倒されてしまい、気がつけば夜遅くまで一人でPCを操作していることもありました。しかし、10年以上の月日を経て、ようやくこの怒涛の1ヶ月を倒れずに走り抜けるコツが見えてきました。
今日は、そんな私が実践している「3月を乗り切るための具体的な考え方とテクニック」をお話しします。
3月に押し寄せる事務の正体
なぜ3月がこれほどまでに過酷なのか、まずはその中身を整理してみましょう。
- 学年会計と市会計の最終締め切り 特に学年費などの保護者負担金は、一円の狂いも許されない緊張感があります。返金作業や未納への対応、さらに市の予算執行の期限も重なるため、数字との戦いが毎日続きます。
- 退職と人事異動に伴う事務 長年勤めた先生の退職手続きや、異動する職員の共済組合や社会保険、給与、通勤手当の変更など、本人の生活に直結する大切な書類作成が目白押しです。
- 新年度の受け入れ準備 4月に新しく赴任してくる職員のために、机の配置を考えたり、名札や鍵、備品を揃えたりと、目に見えない細かな準備がいくつも存在します。
これらが同時並行で進むのですから、普通にこなそうとすれば時間が足りなくなるのは当然です。
怒涛の1ヶ月を賢く乗り切る3つの秘策
この過酷な状況を突破するためには、力技ではなく「段取り」がすべてです。私が毎年心がけているポイントをご紹介します。
1. 先生方を巻き込んだ「早めの締め切り設定」
事務の仕事は、先生方から提出される書類や領収書がなければ先に進めないものがほとんどです。3月の末ギリギリになって「領収書を忘れていました」と言われるのが一番の痛手になります。
そこで私は、学校全体の公式な締め切りよりも数日早い「事務室の目標日」を先生方にアナウンスするようにしています。その際、「4月の準備をスムーズに行うために、ご協力をお願いします」と一言添えるのがポイントです。自分たちのためにやってくれているのだと感じてもらうことで、提出率がぐっと上がります。
2. 「考える仕事」と「作業」を分ける
午前中の電話が少ない時間は、計算や複雑な書類作成などの「考える仕事」に集中します。逆に、名札作りや封筒の準備などの「作業」は、少し疲れが出てくる午後に回します。
その日のタスクを朝一番で紙に書き出し、終わったものから消していくというシンプルな方法も効果的です。視覚的に仕事が減っていく様子が見えるだけで、精神的な負担が驚くほど軽くなります。
3. 完璧主義を少しだけ手放す
もちろん公務員として正確な仕事は絶対ですが、すべてを自分一人で、かつ100点満点の美しさで仕上げようとすると限界が来ます。
後輩がいる場合は思い切って仕事を任せてみたり、同僚と声を掛け合ってダブルチェックを分担したりすることも立派なスキルです。一人で抱え込まず、事務室全体でゴールを目指す意識を持つことが、心に余裕を生む鍵になります。
おわりに
3月の業務は確かに大変ですが、これらを一つひとつ片付けていくことは、学校という大きな組織が新しい年度へバトンを渡すための大切な準備です。私たちが整えた環境が、4月から始まる子供たちの新しい生活や、先生方の新しい挑戦を支える土台になります。
もし今、仕事の山を前にしてため息をついている方がいたら、まずは温かいお茶を一杯飲んで一息ついてください。
なお、事務の手続きや決まりごとは自治体によってルールが異なる部分も多々あります。判断に迷ったときは、必ず自分の自治体の規定やマニュアルを確認してくださいね。
この山を越えれば、また新しい出会いが待っています。健康に気をつけて、一緒にこの春を乗り越えていきましょう。

コメント